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不定期連載小説『青春こぶし荘』

不定期連載小説『青春こぶし荘』の頁です。
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『青春こぶし荘』

~ダボハゼオ空飛ぶ唄~


野良犬達は確かに存在した…。


住人は誕生日を迎えた。しかも二十歳に♪背伸びをして大人ぶってた子供が、社会的にも認められる特別な年齢である。
もちろんイベントを欲する若人達は誕生日会を催す事になる。
誕生日会なんてどこにでも良くある光景だが彼らは一味違った…。何が違うのかって!?それは参加者はプレゼントを譲渡、誕生日を迎えた者が[飲み食い代金全額を支払う]という中近東的な思想が強いイベントであった。当事の彼らは[プレゼントもらってんだからそれぐらい払えよ!]って考えていた…いや、タダ単に[どこにでもある風景]を嫌っていた…へそまがりの集団である。断っておくが、住人の時だけでは無い。誕生日は誰しも一年に一回は訪れる。持回りで[盛大な誕生日会]を開催してたのである。恐るべし!
[誕生日会]が近づくにつれ青年は[今回はええやろ。グスッ!皆忙しいし…]コツコツ貯めた金を守る事に関してだけはあざとい…カテナチオ!
そうはさせじと[何言ってんだよ!皆やってきたんだから住人もやろうぜ!]と友人が正論で深く切り込む。
[せやけどなぁ…グスッ!]この期に及んでまで堅くなに拒む住人…さすが[守銭奴]…。
[オレは住人のプレゼントもう買っちゃったよ!]ホラを吹く青年。
[ほな、グスッ!プレゼントだけちょうだぁい♪]甘い声でとぼける住人。世の中甘かないぜよ。
青年と友人のセンサーがほぼ同時に反応した…もう止める事は出来ない。
[女の子達皆楽しみにしてたよ♪]
[住人の誕生日会楽しいに決まってるから、あっという間に終電無くなっちまうよ!…って事は♪]

[!!!グスッ!!!]

住人のズサンな安易な計算が成立した模様。
[しゃぁないのう~♪グシュッ!ほなやりまひょかぁ♪グシュッ!]住人をいとも簡単に説き伏せるこの二人は抜群のネゴシエーターである。正に勝海舟ぜよ!
東京の熱い梅雨の時期に誕生日会は開催された。場所は池袋[西一番街]の居酒屋と記憶する。


~つづく~

関連タグ : 演劇, 青春, アパート, 芝居, 実話, 小説,

総裁の目に止まろうと思ったのか!?女子達の注目を浴びようと思ったのか!?[新潟の沈まぬ太陽]と言われた青年に[氷のこぶし]住人が挑んだのである!
弱者に対してのプロレスを見ていただけに[ショッパイ試合になる事間違い無し!平田淳二(SSマシーン)になるのだけは嫌だ!!]と瞬時に判断した青年は、住人の耳元で[ヒップアタック]と囁く。しかし何を思ったのか、ササミフライが半生で怒りの矛先を青年に向けたのか定かでは無いが、強烈な金的攻撃を仕掛けて来た!!

[!!!]

確実に住人の蹴りが青年の稲荷寿司を捉えた!!
その場で悶絶したら[すまん、グスッ!ワシの蹴りが青年に入ってもうたわ、アッカッカッカッカッ♪グスッ♪]ときっと高らかに笑ったであろう。

諸説はあるが[昭和厳流島]と言われた[力道山vs木村政彦]は、木村の偶然の急所攻撃に対しての力道山の壮絶な報復とも言われている。
[リキさん、アンタの気持ちわかるぜよ!!]
悶絶に耐え忍び、報復を誓う青年である。
青年は一瞬にして柔道技[大外刈り]を放つのだ。
青年は柔道経験者。裏技も熟知している。投げられた人の上にわざと体重を浴びせる…暗黙の了解で使用禁止な行為の一つである。
[加納先生!お許し下さい!]と心の中で叫び、全体重を浴びせたのである。

[ハァガッ!]

住人の口からエクトプラズムが出たかと思う程空気が抜ける音がした…勝負はついた。

住人は顔から血の気が引き、額のカラータイマーが点滅し[…マジやん…]とだけ力無く言い残し、トイレへ駆け込む。
[オレは仲間の腕を折ってしまった…]と藤原組長が泣いた時の様に青年もまた[…やってしまった…]と後悔の念に恐われる。
すかさず友人、筋肉、総裁に取り囲まれる…[やり過ぎだよ!]と怒られるのは覚悟していた。
三人の鋭い視線が青年に突き刺さる…総裁が口を開いた。
[大丈夫か?青年?アイツは悪い野郎だな!金的攻撃しやがって!]
[青年良くキレなかったなぁ。偉いよ!]友人が続いて褒め讃える。
筋肉にいたっては[アイツはプロレス解ってねぇんだよ!バカじゃねぇか!]と罵声を浴びせる始末。
青年は友の大切さを痛感したと同時に[見てる人は見てる]の教訓を、身をもって勉強したのである。

と同時に、住人の信頼性の無さに同情したのも事実である。

トイレに駆け込んだ住人は昼飯の[ササミフライ]を全部吐き出したとさ♪

12年前の実話である。
『青春こぶし荘』


~ダボハゼオ昼下りの唄~


彼らはいつもの昼の休憩を過ごしていた。
住人は小料理屋の女将さんの計らいで、余った酢飯をもらい、おかずに近所の肉屋の[ササミフライ(\100)]が定番メニューであった。決して[守銭奴]では無い[節約家]である。
しかし近所の肉屋が定休日だと[火つけたるど!]と凄んだり、主食のササミフライが売切れで、値段の高いメンチカツ(\200)を買うはめになった際には[死んでまえ!]と過激な陰口を叩き、サービスで付けてくれる醤油が無かった時には[殺したるわホンマ!]と殺人予告をしていました。…守銭奴ではございません…立派な[放火殺人脅迫未遂]の被告ですぞ。
ちなみに青年は創業戦後ヤミ市と言わんをばかりの[きたな亭(青年命名)]で煮込まれ過ぎた[肉じゃが定食]を食べておりました。肉がかなりの少量なので[じゃがじゃが定食]とも言われておりましたが…。
それぞれの昼食が終わるといつしかプロレスタイム♪

住人はプロレス入門者で[ワシは武藤!]と叫んでは[ラリアート]や[サソリ固め]を、やはり弱者に対してだけ技をかけては[イェ~!チャンピオ~ン!グスッ!]と強さを女子達に聞こえる様に叫んでました。…立派なイジメだよ…。
青年はそんな住人を尻目にマッスルアスリートな同期[筋肉]とプロレスを越えた、打撃無しの総合格闘技を繰り広げていました。
後日談ですが、その光景を見てた友人曰く[青年と筋肉のあれほど真剣な表情は見た事が無いよ!]と言われる程に、半ば病的に死闘を繰り広げていたのだ!
筋肉の底知れぬ素質の前には、さすがの[新潟の沈まぬ太陽]と言われた青年も歯がたたず…結局プロレスを行うのである。
しかしこの二人のプロレスは素人とは呼べ無い技を次々と繰り出したのだ!パワーボムをウラカン=ラナできり返し、キックをドラゴンスクリューに持って行く。そしていつしか[狂虎]と化した青年が、昼下がりを満喫してる少女達の輪を乱して壁にぶつかり暴れまくる…馬鹿だった…。
後に青年の[喧嘩仲裁→ゴミ箱犬神家]の芸はこれが元になってると伝えられております。

そんなプロレスを見て一番喜んでいたのが[総裁]。総裁は後に[二代目猪木王]に君臨する程、プロレスを愛していた。想像倶楽部も愛していた。
[総裁]が大ウケするもんだから至る所でバトルは繰り広げられる…教室は地獄絵図と化したのだ…。


~つづく~


青年にとっては夢を見てたが如く時間は過ぎさり帰宅。早速友人にTEL。[絶対言っちゃ駄目だよ!]と前置きした上で全ての経過を打ち明ける。しかし友人は笑うが信じ無い…そりゃそうだ…誰が20世紀も終わろうとする平成の世に、[自ら出刃包丁で腕に名前を彫る]話等信じる訳がないのだ…しかも付き合って無いのに…。
[本当だって!!!]何回TEL越しに叫んだ事やら…恐らく友人にとって、青年の鬼気迫る心の叫びは最初で最後になったであろう。根負けしたのか友人は青年の話を信用する事にする。ありがとう友人よ!!一部始終を話し終え、TELを切った青年は[王様はロバの耳]の理髪師の如く、もしくは[冤罪のカズ]こと三浦和義氏の如く、枕を高くして深い眠りについたのであった。。。

翌日、珍しく休みの日なのに学校がある日。発表会の稽古だったと記憶する。
こんな時に限って住人と青年が朝一番に顔を合わせる…しかも狭い着替え部屋で…。神よ!私に何を求めてるのでしょうか!!
青年は必死で昨日見たモノには触れない話を振りまくる。朝から妙なテンションである。
[うぃーっす!]朝一番には聞き慣れない友人がお早い登校。
しかも友人は住人にまっしぐらに歩を進める…嫌な予感…
[やめるんだ!!!]とアイコンタクトで叫んだが友人には届かず…青年にとって永遠の時が刻む…。
[ハ…ナ…コ…本当だ!]
予感は的中!何をしでかすのだ友人よ!オレがバラした事がモロバレだろうが!!青年の時の針はまだ動かない…。
殺気を瞬時に感じとって身構える青年に対して住人の粒らな瞳が眼鏡越しに光るのが解った…

[言うな言うたやろ~♪グシュ~♪]
バラされて嬉しいのか!?いや、バラされて欲しかったのだ…あの笑顔は!!

起死回生に褒めまくりその場をしのぐ青年。神よ!見捨ててなかったのですね!!
もちろんその後、寿命の縮まった青年は友人に説教をした。おそらく説教も最初で最後であろうぞ。
その後住人の思惑通りにはいかず、極身内だけで語り継がれる事になったのである。
もちろん花子さんには伝わる事はなかった…いや、その方がむしろ良かったはずである…ドンビキじゃ済まないよ…
[口は災いの元なり]と肝に命じた青年であった。


今思えば、住人にそのような知識(出刃包丁で墨)は無い…[女将さんがアドバイス(そそのかし)をしたのでは!?]と結論に至っのはまだまだ先の事である。


12年前の実話である。
やがて数日後、青年は破局…。友の大切さと都会のコンクリートの冷たさを感じていた。
まだ傷の癒えぬ青年は、再び小料理屋へ。

なんだか緩急の利いた週末であった。一気にお客さんが来たかと思えば、一気に帰る。給料日後に良くある光景だ。
自然と従業員同志で話し込む。
疲れた青年を見かねて[どしたん?まだ引きずっとるのか?グスッ!]と住人。[お前だけには言われたく無いぜよ!]とは思わず、その暖かさに胸を打つ。
しかし…妙な余裕をかます住人が気になる…青年が問いかける。
[好きな娘出来たでしょ?]
[待ってました!]と言わんばかりの恵比寿顔☆
[青年も知ってる人やで♪グッスン♪]一通り名を挙げるがHITせず…[まさか!?]と思ったが
[花子ちゃん!]と聞いてみる。

[ビィンゴォ~♪]

小料理屋に異色の言語がこだまする。少ないとはいえ、お客さんは[ここは米映画に良くある日曜日の集会所か!?]と一瞬思ったに違いない。
今更[信じちゃったの?]とは口が裂けても言えまい…住人は恋愛に関して言えば、猪突猛進、暴走機関車、シベリア超特急の如く走り出したら止まらないタイプである…。
[…そっか、頑張ってよ]とだけ言い残し、責任だけは免れようと素知らぬ態度をとる青年。
そんな事関係無しに[あのな、あのな。グスッ!]と聞いても無いのに何かを伝えたそうな住人。
[これ誰にも言うたらあかんで?グスッ!]だから聞いてないってばよ!!
[ワシ、墨入れてもうてん♪]

[!!?※♀♂¥$!!]

青年の思考回路が音をたててショートした…一体どういう事!?…守銭奴なのにそんな金が!?…まだ付き合った訳じゃないのに…。様々な思考が交差するが[見せてよ!!]ととっさに口走る。
[しゃぁ~ないのぅ~グシュ~☆]といかにも見せたい住人が左腕をまくる…

『八十ク』

不格好ではあるが貧相なカタカナで間違い無く

[ハナコ]である。

青冷めた…鳥肌立った…全部立った…毛穴が閉まらないよ…
謎は解けた…自らの手で彫られたものだ…。
住人は得意満面に[これな、出刃でいれてな、墨で塗ってな…]と墨の入れ方を延々とレクチャーするのだが青年はうなづくふりをするだけで精一杯…。[オレがあんな事言ってしまったばかりに…]懺悔の十字架がまだ若い青年の背中に重過ぎるぐらいのしかかる…。


~つづく~
エスペランサ89
エスペランサ89
2009年4月16~19まで池袋シアターグリーンにて上演された、HUSTLE MANIAのエスペランサ89です。
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