不定期連載小説『青春こぶし荘』

不定期連載小説『青春こぶし荘』の頁です。
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青年の前に立ちはだかったのはゴツイ[片桐はいり]…もしくは白い[レイセフォー]…。青年は[この世に神様なんていないよ…]と悟った瞬間でもあった…。
それでも青年は立ちはだかったのだが、すぐさま横に倒され[手による攻撃]を受ける。執拗な攻めは続く…。次なる攻撃を予測してるのだがいつまでたっても[手による攻撃]のみである。青年はいてもたってもいられず[手以外の攻撃はしないのですか?]と尋ねる…[ハイしません。別料金になります]だってよ…。
青年の怒りがピークに達した![ナメたらイカんぜよ!]と心の中で叫んではみたものの[上乗せします♪]と口走ってしまい、さほど変化のない攻撃を受けて朽ち果てた…完全なるKOである…のびていた…当事から無駄金使ってますな…。
後に青年は[上乗せ青年]と言う、有り難くない称号でしばらく呼ばれる事となるのである。
納得いかないまま、寒空の中に放り出された青年を待っていたのは、ガードレールにチョコンと座る[手乗り住人]である。住人はただ呆然とアスファルトを見つめていた…。足元の煙草の吸殻が待ち時間を物語る。彼もまた無惨な結果だったのであろうと察した青年は[どうだった?]と語りかける。
[…後で話すわ…グスン…]いつになく弱々しい声が全てを物語っていた。言葉など要らない…尾崎豊の如く[熱い缶珈琲握り締め]てただ、たたずんでいた。
やがて将軍も出て来て池袋の雑踏の中、反省会が開かれる。
青年は待ってましたとばかりに、さっき自分の体験した話を怒りに任せて話すのだが…ノーリアクション…[こいつら…まさかオレより…]と瞬時に察した青年はインタビュアーに回る事にする。
[住人はどうだったの?]
しばしの無言が続いた後に…

[オカンやったわ…]

喧騒な街池袋が静まりかえった。次の瞬間、静寂を切り裂き

[ガッバッー来てん、バーと上乗られて…気ぃついたら自分が上でガーって…]
今にも泣き出しそうな住人…同情するぜ!そりゃあ残酷な出来事ぜよ…。
二人で珍しくお互いの健闘を讃えあってた時に、将軍の重たい口が開いた…

[おめぇらまだ日本語喋れたんだろぅ…]

唖然とする青年と住人…池袋がこんなに静かな街だったとは…。

都会のルールを身をもって体験した三人はその夜こぶし荘へ…。
独りになりたくなかった訳で…
ただそれだけで良かった訳で…
その冬一番の冷え込む夜でした。


12年前の実話である。
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彼らにとって男だらけは滅多に無い事…せっかくなので[男性ならではな場所へ行こうではないか♪]と単純明快な答えを導き出した。
簡単に説明するならば、1vs1の真剣勝負!いわゆる[ファイトクラブ]!時は戦国時代末期より続く[風魔一族]が牛耳る非合法な闇組織である。侍のDNAを現代に受け継ぎし者、一度はお手合わせしたいものである。現代では略して[風族]と呼ばれる事が多々あるのである。
酒の勢いもあり、謹賀新年という事で野良犬達はさぁいざ出陣!とホラ貝が鳴り響いた時に筋肉が[やっぱオレはいいや…]と回避の態度。そんな所まで及び腰ドラゴンなのか!?猪木の[やれんのか!]に対して[オレヤリマスヨコロヤノウ!]と言い返した[飛竜革命]の様に、後先考えず突っ走して欲しかったのだが…残念。追随して友人も回避の姿勢を貫く。
[しゃ~ないのぅ!グスッ!早よイク人だけで行こうやっ!]せっかちな住人が皆に決断を迫った。
[去る者は追わず]の[広島東洋カープ精神]で、将軍、青年、住人がいざ[風族]との闘いを求め旅立つ事になる。
あの場に[風族]と度重なる生死をかけた闘いを演じて来た総帥が同席して無かった事を悔んだのであった。
何故に[守銭奴]の住人が率先してまでも英断を下したのか…相当な重い悩みであったのであろうと推測される。
勇ましい三人の姿は極寒の池袋ネオン街に消えて行く。サーモグラフィでみれば局地だけ真っ赤に反応していたに違いない!そんな三人は[対戦相手紹介者]にとって格好のターゲット…[黒豹Ⅱ世]なる闘技場に連れて行かれたのであった。
覚悟を決めていた三人だったが、すっかり酔いも冷め、声も上ずり気味、視線が泳ぐの中で熱めのこんぶ茶をすすりながら、自分の出番を今か今かと待ちわびていた。
いつもはヨレヨレのタートルネックを着こなしていた住人だが、今夜のタートルネックはいつも以上にご立派である。
トップバッターは住人。[ほな♪グスッ♪]と嬉しさと緊張が入り交る中、親指を立ててカーテン越しに消えて行くその姿はまさしく[アルマゲドン]![ドワナクロ~ズア~イ♪]とバックコーラスが流れる中、青年も将軍も親指を立てて見送っていた。
しばらくして青年、将軍がそれぞれの[個室闘技場]へと案内されて行く。

~つづく~
『青春こぶし荘』

~ダボハゼオ風の唄~

住人は悩みを抱えていた。二十歳前後の若者の大半が抱える悩みを…。

学校の発表会が差し迫っていた。正月休みを返上し、学校で練習をする為ぞろぞろと皆が集まるはず…が、例年になく寒い冬…ほとんどの人間が風邪でダウン…極少数で練習は繰り広げられる事になった。
そんな事など意に介さず、病気は[仮病]以外ひいた事のない、[健康優良生命体]の青年と筋肉は、前日生観戦した[東京ドーム]で[アントニオ猪木]が何故、縁もゆかりもなき[スティング]とカウントダウン試合をしたのか!?って話をしていた。
徹底した分析眼の新日教徒[ゴング筋肉]と、独自の観点を持つ熱血[ターザン青年]の会話には誰もついて行けず、二人で盛り上がりの一途をたどっていた…少しは練習しなよ…。
彼らが悪い訳では無い。人数が集まらないと大した練習が出来ず、早々と解散となる。
誰が言いだしたのか不明ではあるが[なんなの~?新年会ばすっか!?]の呼びかけに、更に極少数の若者達が集まる…いつもメンバーじゃん…。
初めての発表会で皆の不安と緊張が充満する。それぞれが胸に秘めたる思いを吐き出すが、答えは見い出せない…しかし当時はそれでも良かったのである。
しかしこの場に及んでまでも青年と筋肉は昨夜のメインイベント[長州vs藤波]を激論していた。及び腰ドラゴン社長(外周り担当)派の筋肉と、保守な革命戦士派の青年の会話は正に[名勝負数え唄]の域に達していた。後日談で[アイツとはいつでも、どこでも、うん、スウィングしますよ、うん。]と青年は語る。
こんなプロレス馬鹿達(注:剛竜馬受刑者は含まれません)は放っておいて、ふとテーブルを見渡す…今更気付いたが、男臭プンプンな野郎だらけである。年末年始を独りで過ごしてたのか!?忙し過ぎたのか!?目がランランとしている。深作欣ニ監督の[いつかギラギラする日]はこの日の事であろうか!
野良犬達が飲む時、DNAに引き寄せらたのか!?何故かいつも女の子が飲みの席に同席していた。…しかし今日は男だらけ…思考回路を巡らすのであった。

~つづく~
やがて店を出てたむろする参加者。
住人が気を取り直して[ほな!グスッ!カラオケ行こか♪]
[イェ~イ!]更に盛り上がる一同。
素朴な疑問が頭をよぎる…[カラオケもおごり?]誰が聞いたかは定かで無いが確かに聞こえた。
[ちょ!マジ勘弁してぇなぁ…グスッ…]怒ってはいない…泣きに近い弱々しい声で、精一杯の抵抗であるが[イェ~イ!!]と集団の声でかき消される…若い集団は恐い…。
突然、総裁が[胴上げだ!]住人を取り囲む男達。この男達が凄い!今までの登場人物を凌駕する、腕っぷしに自信のある奴ばかりなのだ!
映画[300(スリーハンドレット)]の主演を彷彿させる肉体の持主で、[人を踏んづけて歩く]前科者の『将軍』
小学校6年生にして[わては本気の力出しちゃアカンのや…]と自らの力をパンドラの箱に封印した、三重の怪童、人間山脈『安藤礼』
[青春こぶし荘オールスターズ]が一斉に住人を持ちあげる。

[ちょ!ちょ!待ってぇや!グスッ!]
そんな声は野良犬達の耳には届かない。力任せに住人の体が宙を舞う。
2回3回と舞った時、野良犬全員の目があった…より高くっ!

[!!!]

胴上げのレベルを越えていた…。力の限り投げ出された住人の体は、ノケぞり、[西口一番街]と書かれたアーケードを直撃する勢いであった。

[…はっぶな…はっぶな…グスリ…]震える唇を横目に野良犬達は[新しい遊び]を見つけて嬉しいのか、笑いが止まらない。
最早[誕生日者]を祝う胴上げでは無く、[西口一番街]のアーケードにぶつける事が目的となった。
放心状態の住人を再び担ぎあげるまで時間はかからなかった…思いは一つ!より高くっ!
野良犬達の強固な団結力は想像以上である。3回目の舞で早くもK点越え…いよいよその時がやってきた!全員のパワーが集中した!オラ達に力をくんろ!

[!!!人!!!]

奇跡が起きた!住人が宙で立ったのだ!
…[Air]
惜しくも[西口一番街]のアーケードに直撃はしなかったが、つむじはきっとナメタであろう…トランポリンの五輪代表よりも先に最高到達点を体験した住人は、声を失い、ただ遠くを見つめていた…。
[よぅ~し!カラオケ行くぞ!!]野良犬達は住人を尻目に池袋を闊歩し雑踏に消えて行くのである。
その日の宴は終電ギリギリまで盛り上がったとさ☆

ちなみに終電に乗り遅れた男一人が住人の[こぶし荘]に泊まる事になりました。

12年前の実話である。

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ホラ吹き青年は当日になってもプレゼントを購入して無かった…。いや、口うるさいい住人に適当な物をあげたら[何やこれ!グスッ!ホンマわかってグスッ!ないのぅ~!!]と言われるのがオチで、それを許さない青年のプライドで選びに選び抜いていたと言う方が正確であろう。
散々選んだ挙句、住人の好きな俳優の一人[ロバート・デ・ニーロ]の写真をいかにも高そうな額に入れて献上する事にした。我ながらプライスレスなグッドアイデア♪
適当な言い訳で遅れて誕生日会に参加する青年…

[!!?!!?]

青年は我が目を疑った…本当に女子が多数参加しているではないか!!!
[アンタ会話した事あんの?]って娘やら、住人そっちのけで、ホロ酔い高級ドリンク[カシスオレンジ]を飲みまくる娘…タダとは凄い事である。
恐る恐る住人に目を送ると…

[ア~カッカッカッカッカ!!グスッ!グスッ!青年もアレやのぅ~♪フガ~!]
[アレって何だよ!?]と問い正したい所だが、まぁ良い。両手に華で満面の笑みを浮かべているではないか。[金子信雄]がホステスに囲まれてる東映映画に良くある風景を思い描いて欲しい。まさしくその光景が繰り広がっていた…しかも誰のプレゼントか解らんが[タンクトップ]に[トビズボン]に身を包んで…。住人にとって己の人気を実感していた事であろう。
青年の[金額より誠意]あるプレゼントを受け取りご満悦の様子。[ホっ]と胸を撫でおろすが、ちょいと遅れたばかりに、今いちノリきれない青年を尻目に会は更に盛り上がる。もちろん遅れを取り戻す為に[ガソリン]を流し込む青年。すぐに[金子信雄]の如く赤ら顔に。低燃費で良かったぜ!

しかし時間とは悲しいモノである…会計の時が訪れた…いざ現実に戻される住人…独りレジの前で会計する住人の猫背に哀愁を感じたのである。[福沢諭吉]さんが何人飛んで行ったのであろうか…聞け無かった…こりゃ[学問のすすめ]とは程遠いよ…。
そんな事はお構い無しに退店時間過ぎてまでも更にテーブルは盛り上がりを増していた…。空の大量のグラスと空き皿が宴を象徴していた。


~つづく~

関連タグ : 演劇, 劇団, 稽古, 青春, アパート, 芝居, 小説, 実話,

エスペランサ89
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2009年4月16~19まで池袋シアターグリーンにて上演された、HUSTLE MANIAのエスペランサ89です。
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